錦鯉タッタR(yamadarei)が演劇から考える

錦鯉タッタの山田零が、演劇から考えるブログ

2月10日より!! 錦鯉タッタ公演情報!!

「錦鯉タッタ」公演情報。


このブログの最新日記はとうぶん公演情報です。
最新の記事はこの下をどうぞ。


『POTS2・ぽっつー・pile on the stones 2』

(注・11月に上演された『POTS』とは、まったく別の「新作」です!!)


2007/2/10(土)11(日)、12(月・祝)

1730開場、1800開演

新小岩劇場(江戸川区中央1−1−5、2階)

総武線新小岩駅南口からバス(江戸川区役所前下車)

前売 2000円、当日2500円

予約 

場所などわからぬときの問い合わせ 08065319514


出演・岩崎健太、紺野寿美礼、藤島かずみ、宮崎 智、山田 零

構成演出・山田 零

舞台監督・小川隆

照明・今野洋平

音響・江戸川太郎

制作・岩崎悠里

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以下、チラシに掲載されている文章です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

★★★  11/06 《女中たち》のクレール、ソランジュの場面に《偶然の音楽》のジムとポッツィが借金のカタに石積みさせられる場面を強引に接合。宇都宮特産の大谷石のブロックを本当に積み上げながら、歌い踊り叫びつつすすむ演劇。主題は何となくわかるが、まだ迫ってこない。アングラ系にしてはピチピチの女子たちがりりしくがむばっているのは特記事項。
★★★★ 11/13 再見。今度は鍵がわかる。《互いの世界を批評しあう二つの作品の登場人物たち》とでもいうべき作品。唐劇等で使われる手法と違うのは、元の作品の設定自体は変えていない点か。批評的な読みとポイントの選択が成功していると思う。途中まで積まれた石のブロックの上に立っての役者たちそれぞれのソロもナンセンスな様でいて何かを感じさせる。紺野寿美礼さんの叫ぶ口の中がよいです。大注目作。

、、、以上、「えんげきのぺーじ」の「一刀両断、一行レビュー」より、
   「角田@仙台」さんのレビュー。


 さて、まず強調しておきたいのは
「2」と名付けられているけれど「新作である」こと!!


 手前味噌で恥ずかしいのだけれど、11月の『POTS』が終わったとき、「かなり、よい芝居である」と実感。各方面からも類する言葉をいただいた。なにより私自身が見ていてグッときた。だから「いわゆるそのままに近い再演」も当時はまじめに考えていた。もちろん、再演により奥行きがさらに深くなる、という展望のもとに。ところが、12月に入ったくらいから、なにかモゾモゾとしはじめた。もちろん、11月の上演に対する評価が変わったわけではなくて。ただ、、、なんかこう、もっとワイルドに、というか、もっと乱暴に、というか、もっとチープに、というか、もっとバカバカしく、というか、、、そういう気分になった。


 それは「感動」とか、「グッとくる」とか、そういうものと関係しているんだと思う。そうじゃないだろっ!と思うことがそのころたびたびあったのかもしれない。人は日常的には意味(物語)として物事(世界)を受け取ることが多いような気がするけれど、苦しいときなんかの最後の局面では意味(物語)ではなくて、もっとちがうなにかに(たとえば「顔」に)心をふるわせるように(元気づけられるように)思う。そして、そういう顔は深刻な、というよりは、チープでカラッとしているのではないか、と思う。自分でいうと笑っちゃうけれど、われわれは非常に生真面目で、素人主義を標榜しているところがあるから、このまんま続けると「よくできすぎている芝居」になっちゃうかも、とも判断した。ただ、チープでカラッとしているものはかんたんにはできない。それこそたいへん。でも、そちらへ行けるかな、と。なにせ、2006年4月から稽古をしてるんだから。そして、11月の上演では活躍できなかったものものがまだまだ埋もれている。稽古は嘘はつかない、これは私の持論。


 公演場所は、新小岩駅から徒歩なら25分、バス5分歩き4分の「新小岩劇場」。ここ、決してアクセスいいところだとはいえない。文化的になんたらかんたらという地域でもない。(地域の人、ごめんなさい。でも駅前には立ち飲み屋はあるし、とてもいい感じ。)加えて、工場の2階だから、おしゃれなスペースでもないし、設備もよくはない。ただ、集中した稽古にもとづいた上演は期待できる。そんなことを前提に、11月の芝居は「こもりがち」だったけど(そして、それがよかったんだけど)、2月はもっと「いい加減」にやろうと思う。もちろん寒い。防寒具は必須。覚悟してください。道路の近いには「小松川境川親水公園」もある。そこで風に吹かれるのも悪くない。


 誰に向かってやってるんだろう、と改めて思う。ある意味、芝居(演劇)はとても高級な娯楽(芸術)だ。きれいな劇場に行くと「(ここって、俺って)なんなんだろう」と思うこともしばしば。もちろん、それを否定しているわけではない。ただ、芝居(演劇)にはいろんなかたちがある。芝居(演劇)は生きることに役に立つ(必要)ものであってほしい。芝居(演劇)は人間(民衆)が生きる元気をもらえるものであるべきだ。おもしろい芝居(演劇)とは、つまりそういうことなんだと思う。
 人間(民衆)のひとりとして、そういう芝居(演劇)がつくりたい。


 元ネタとして、ジャン・ジュネ『女中たち』、ポール・オースター『偶然の音楽』を使う。前者は、革命前のフランス貴族の家で下働きをするメイドが奥様を殺そうとしてかなわぬ話。後者は、生きる希望をなくした男2人が賭けでひと儲けしようとして失敗し、代償として監禁労働をさせられるというアメリカの話。その話を伝えよう、というのではない。それを使って「顔」を見せる。そして、11月に引き続き、栃木県の大谷から運び込んだ「石」を積む。でも11月とは、吐かれる言葉、役者たちの動き、石の積み方、劇場使い、なにからなにまで、ちがうものになると思う。11月の『POTS』の「かなり、よい芝居である」部分がエキスとして役者の身体に埋め込まれたまま、あれとは別な、心がふるえるチープなものを提出できたら、と思う。


 11月を見逃した人も、見た人も、ぜひぜひ足をお運びください。
 繰り返しますが、かなり寒い、はずです。覚悟してください。
 そして、終演後、飲みましょう。生きる元気をわかちあいましょう。
 お待ちしております。