錦鯉タッタR(yamadarei)が演劇から考える

錦鯉タッタの山田零が、演劇から考えるブログ

角田さんのレビュー。

角田さんのレビュー。

01/16-01/18『ホット☆サンド/熱砂 1vs0+』
錦鯉プチ(藤島かずみ/山田零/南波トモコ)@「新小岩ZAZA」。


ドライ・エロス


あの『砂の女』の、キュビスム/コラージュ風な。いかにも「錦鯉タッタ」っぽい、飛躍した造型のある脚色版(一部漫才仕立)。『死の棘』の男女と対比させてもよいかもしれない。
動物の体臭の様な乾いた砂の匂いがたち込め、役者が倒れると揺れる劇場。
安部公房の余りにも強烈で神懸かったテキスト、ドラマの場面々々に、ふくらませた部分である「男」の家庭生活やインドシナ戦争、ある海辺の村落の御伽話、谷崎潤一郎(乱歩?『他人の顔』?)の変質者が秘密にしたためたテキスト、歌謡曲(ピンクレディ)、一発芸のギャグが絡む。初日で前半は練度が足りなかった感触だが、段々引付けられる。あまり声が出ていない。音楽(サキソフォンインプロビゼーション)がやや大き過ぎるか。三人並ぶと南波さんだけプロのタレント的に体のスケール感が小作りで、踊りが上手過ぎ、声の感じがアングラ系の人とちょっと違う。
砂の上に横たわる役者。石ブロックすれすれに倒れる。目のまわりの化粧は無し。安部作品にはみなカマトト風に隠された激烈なエログロ部分があると思うのだが(米作家ジョン・アップダイクが“ポルノグラフィだ”と評したのは『密会』)、感覚的には良く出ていたかなと。脱いだり喘いだりしないエロ。オンナの肉体が立っていて情況が加わると発動するエロス。