錦鯉タッタR(yamadarei)が演劇から考える

錦鯉タッタの山田零が、演劇から考えるブログ

さて、イマージュオペラ。演出と自演。

さて、イマージュオペラ
、、、実は、いまは28日。ははは。
見た日からはすでにかなりの時間が経ってる、、、。メモをたよりに書こう。


きのうの部分に書いたとおり3本だて。
1人のソロ、2人の(演出付きの)パフォーマンス、そして、1人のソロ。
スタンダードでシンプルな構成。構成としてはよくあるタイプ、いい意味でオーソドックス。


簡明に書こう。
コンセプトがいちばん明瞭に見えるのは野沢さんの。
脇川さんのは明瞭なんだけど、力業、ある種の訓練みたい。
綾原さんが構成・演出で、相良さんと吉川さんが演じたものは、いろいろ言われやすいタイプのパフォーマンスだった。


個人的な(精神的なものも含めて)体調のこともあり、野沢さんのは退屈すぎてうつらうつらしてしまった。なのに、悪い印象がない。
ざわついた世間の音をバックに「ちいさく」動く。ダイナミクスさはない。(それが「退屈」につながっている。)けれど、とてもていねいというか、着実というか、嘘がないというか、、、。もちろん舞台表現など、嘘(虚構)なんだから、嘘でないことは価値ではないんだけれど、舞台上の身体が嘘であってはならない、という基本的なことをとても真摯にやっているように見えた。
ある意味、とても不思議な世界。
よくてきたいた、とは(少なくとも俺は)思わないんだけど、興味深い。
彼女を数回見ている者としての感想も加えると、彼女はともかく「顔」がいい。全体が大きめだし、パーツもデカイということもあるのかもしれないけれど、そういうことだけではなく「表情」なんだろうか。いわゆる「つくり顔」ではないのだけれど、滲み出てくるものがある。
ともあれ、この路線、彼女は継続していくのだろうか、、、。


脇川さんのは単純に要約してしまうと、ひたすら音楽を流して、ひたすらそれに合わせて踊る、というもの。曲数は半端でなかったと思う。そして、動きの量も。構成的には、あえて単純にした(というか構成しない)感じ。最初のころは「いつまでこの調子でやるんだよ」と思っていたが、やや時間が経つと「これで通すつもりなのね」と、ある意味で納得がいくようになる。
彼は言葉が達者な人だから、いろいろと観念的な言語をいたるところで付属させる。でも、やっていることはけっこうシンプル。そこが彼のよさでもあり、弱点かとも思う。
ただ、今回はひたすら(曲にあわせて)動くことにより(俗っぽい曲群に身を任せることにより)そこにはうまく説明できない力強さが出ていた。すなわち、時間が経つにつれて、身体が上気してくるのが必然的に伝わってくるし、同時に汗も疲れも伝わってくるし、、、そうすると、微細な身体の動きのひとつひとつがとてもダイレクトに(素直に)感じられるようになる。これは、構成や仕掛けでは出てこないものだ。


誰かのものを舞台上で引き受けること(演出されること)と自演することについて、(彼らが全体として意図していたのかは不明だけれど)とても考えさせられる上演だったと思う。


2つのソロのあいだに行われたパフォーマンスには明瞭なコンセプトと台本と演出があった。
パフォーマンスの冒頭に、女2人はそれぞれ(マイクを使って)コメントする。これはパフォーマーに任されていたのか、演出の指定だったのか、、、。
そのひとつは「いちばんやりたいのは踊りなんだけど、今回はやらせてもらえませんでした」というもので、それはもちろん笑いを誘うものだったんだけれど、なかなか批評的な言葉だった。(それは、彼女たちのパフォーマンスと最後の脇川さんの踊りを見たあとで、より批評的に響く。)
女2人が毛皮の取り合いをしたりする、、、のがこのパフォーマンスのメインになるのだけれど、これが「取り合ってみせている」ように見える。もちろん、手を抜いているのではないのだけれど、どこか「やらされている」観がある。指定(指示)された様式を表象してみせることと、自ら(と他者の)動きそのものに注視することとのあいだにはずいぶん隔たりがある。ほかの2人の動き(身体のありよう)と比べると、やはり浅い感じは否めなかった。(最後のほうのただひたすら動くところはそれがやや変転していたけれど。)


んなこと言ったって、、、と、立ち止まる。
たまたまこの日は自作自演のソロ2つといっしょだったから、こんな風に言ってるけど、そもそも芝居の世界では「やらされている」ものばかりではないか、、、。
そしてもちろん、われわれも。


演出(作家)という制度がダメなわけでは(言うまでもなく)ない。
ただ、演出と自演について、自分事としてとても考えさせられた1日でした。
(なんつっても、いま、まさしく「自主稽古」という「自演」の稽古をしていて、それを深層に据えて、でも、しっかり演出された芝居をつくろうとしてんだからなー。)


なんか、ちょっと中途半端気味だけど、これにて終わり。
(それにしても客がたくさん入っててうらやましーなー。)