錦鯉タッタR(yamadarei)が演劇から考える

錦鯉タッタの山田零が、演劇から考えるブログ

映画の撮影、、、。

仕事、進める。
つーか、進めないとアカン。
ゴールデンウイークというのは、好ましい人もいれば、われわれのように好ましくない人もいる。
急がされたり、突然のものをつっ込まれたり、、、。


さて、稽古場確保のための電話をしたり、いろいろと調整のためのメールをしたりする。
またまたなかなか日程があわない、、、。
むー。
ま、それもまた稽古のうちか。
んでも、いわゆる本番に直結しない(無駄にも思える)いまのころの稽古がホントに重要だし、あとになって役に立つんだけどなー。(スポーツでオフにフィジカルを鍛えるのとおんなじだ。いざというときには、そいつが決め手となる、、、。)


さて、今日は映画の撮影日。


2003年にやった芝居で知り合った鈴木くんがドラマ映画を撮るという。
で、突然(何年ぶり?)電話がかかってきた。
「御無沙汰しております。いま映画を撮っていて、ドラマなんですが、キャパクラのスカウトみたいなことをする中年親父の役があるんですけれど、これは山田さんしかいない、と思い、電話したんです」と、ったくちゃらけた(ははは)話。実際、笑いながら、「いいよ、少しなら」と、とてつもなく忙しいにもかかわらず快諾する。
俺ってアホか、、、と思うけれど、それでも「せっかく主義」というか、こういうことからはじまるかもしれないことには目をつぶれない。


で、俺も電話もらったときはまったく空いてないし、その後もお互いに日程の調整がつかず、今日としてこの日になったというわけ。


夕方、池袋で待ち合わせする。
1時間で撮影は終わると聞いていたので、ま、3時間かな、と思っていたら、まさしくそんな感じ。
でもその3時間はなかなか濃かった。


電話で「スーツはありますか」と聞かれ、「火事以来、その手のものはまったくないんだよね、情けないんだけど」「それならこちらで用意しておきます」という話だったので、覚悟はしていたんだけど、会った途端、「それじゃこっちへ」と近くの衣料品店に連れていかれる。そこで何やら購入していたらしく(ワイシャツか?)、そこの更衣室を借りる段取りがついていて、そこで「これを着てください」と、濃紺のスーツの上下・白いワイシャツ・らしいベルトを渡される。ベルトがゆるゆるで突起にはめられず(ベルトの突起にかませて留めるスタイルのベルトだった)、「それならば向こうでテープで留めましょう」と、近くの喫茶店へ。そこのトイレでテープで無理矢理ベルトを留めて、コーヒーを頼んで、さあ、とりあえず打ち合わせ。
「キャパクラのスカウト」という話は聞いていたので、そんなに打ち合わせすることなんてあるんかいな、と思っていたら、「これ覚えてください」と、けっこう長いセリフを渡される。「覚えてもらったら、撮影をはじめましょう」と言い、「おりょー」と応えると、「山田さんならばだいじょうぶだと思って」と、しらっと言いのける。そーいや、こいつはこんな感じだったよなー、と、端正で今風な顔立ちの鈴木くんを見ながら、数年前を思い出す。ま、そういうところ、嫌いじゃないんだけど。


しゃーないので、カウンターに座り、目の前にある水槽に向かって、ぼそぼそとセリフをつぶやく。なんたって声に出さないと覚えられん。それなりに(水槽の音もあるし)周りがうるさかったからいいけれど、それでもかなり変に見えていたはず。
そんなこんなのなか、なんと、彼と彼女(映画の主役で共同作業者らしい)はその喫茶店で撮影を開始する。近頃の若者は無頓着なんだなー、と感心する。水槽ごしに撮っていて、ちゃんと考えてやってんのね(あたりまえか)と思う。そのシーンは3テイクくらいで終了。
30分近くかかってるから、そろそろこっちもセリフが入ってくる。とはいえ、それなりに大きな声で言わないとセリフなんて覚えられるもんじゃない(少なくとも俺は)。
「もう少しいいですよ」という彼を制して、とりあえずやっちまおう、と提案する。だいたい、時間を空けたら、覚えたものが流出していくもんだし。


さて、歩いている彼女に話しかけ、まったく無視されるもなおも追って話し続ける、というのがそのシーン。最初やった場所では人が多すぎる、ということで、移動。少し歩き、場所を決め、再度チャレンジ。場所としてはまあ悪くないらしい。足早に歩く彼女と付いてしゃべる俺を前から(つまり後ろ向きに進みながら)撮っていく。道路も横断したりして危なくないんか、とも思うが、もうこうなったらどうでもいい。そもそも、セリフをちゃんとしゃべるでいっぱいいっぱいだし。これも3テイクくらいして、撮れたものをチェックする。これも道ばた。
「しばらく考えさせてください」という彼を横目に、タバコを吸ったり、そばにあるソープランドの看板を見たり。「あまり仰々しくやらないでください」という注文に、そういうのできないんだよ、と思いつつやったわけだけど、ま、(撮れたものは見てないし知らないけど)いつもの芝居とはまったくちがうし、なかなかおもしろいものでもあるな、と思ったりする。


で、「次は駅前で」と、歩き出す彼。1カットじゃないんかい、と思いつつ、ふうんと、付いていく。
駅前で、似たようなシーンを撮る。(またその場で、1行セリフを渡されるんだけども。)これも3テイクくらい。うまく言えないけれど、芝居とはまったくちがうテンションで、それをそれなりに楽しんでいる自分に気づく。
続いて、彼(彼も俳優として出てるらしい)に一声かけるシーンを撮る。これも場所変えなどもして、数テイク。
この間、ずっと立ちっぱなしだし、ある意味、集中しっぱなしだから、けっこうくたびれる。(ま、くたびなかったら、それはそれで嫌だけど。)


とりあえず俺は御役御免ということになり、駅のトイレで着替える。
着替えている間に、もう少し撮る、という話はなくなり、今日は終了というとこになったらしい。
(ま、疲れるわな。)


、、、うまく言えないけれど、なかなか興味深い時間でした。芝居の稽古とは流れる時間がちがうし。
これが芝居にどう活きるか、は不明だけれど、身体の状態のちがいについて意識的になれただけでも収穫はありました。(「力」を抜く、とか、顔のつくり方・つくらない方法、とか、それなりに意識できてるところもあるし。)


聞いたら、5月半ばには完成、などとのたまう。ホントかいな?
ま、「楽しみにしています」と言った言葉は本心なので、鈴木さん、いいのつくってね。