錦鯉タッタR(yamadarei)が演劇から考える

錦鯉タッタの山田零が、演劇から考えるブログ

山田担当分を以下に。

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「『処置』から考える」


 『処置』は、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトにより、1930年に執筆された教育劇であり、ストーリーは「革命工作員たちが、同志であるひとりの若者を粛正したことの判断・是非を、全体に求める」というもの。第二次世界大戦後(共産党の粛正を肯定したように誤解されることを恐れて)上演禁止措置がとられたため、上演される機会は少なく、1990年のドイツ統一(続く、共産主義圏の崩壊)以降は歴史的に実質的な価値をなくしたといわれる。かくして、『処置』はすでに過去のものとなった。だが、果たしてそうか。
 個人と全体のどちらが尊重されるべきかという観点からすれば、『処置』的な問題は(米軍基地問題を典型として)現在でも脈々と生き続けている。さらに、日本では終わったとされている社会変革への行動も(イスラム原理主義を筆頭に)世界基準では、スタイルはさまざまであれ、現在進行形のビビットな現実でしかない。加えて、忘れてはならないのは『処置』とはなにより「正義とはなにか」をめぐる物語であるということ。今回のアクションの企図は、以下。国際共同企画としてあるTAGTAS/PROJECT2011ならば、国境を越えた我彼の率直な意見交換ができるかもしれない。双方の現状についてお互いに「わかりあえない」ことを通して、逆にひとつの契機とできるかもしれない。
 さらにもうひとつ、踏み込んで。『処置』の内容を具体的にみれば、労働運動の組織化と労働環境の変革を企図するもの。グローバリゼーションのなかでしか存在しえない現在の労働について(我彼の「報告」を含みつつ)討議することはもっとも身に染みる、かつ、有意義なこととなるだろう。『処置』及びそれにプラスするパフォーマンスを提示することから、それを提起したいと思う。


「『処置』から考える」
1月10日(月)19時〜、「リーディングと討議」スペース・カンバス
1月30日(日)15時〜、「パフォーマンスと討議」森下スタジオA
報告/山田零
実演/岩崎健太・藤島かずみ・山田零


座・高円寺でのシンポジウムでも報告=発言します。
1月14日(金)19時〜